こんにちは、映画好き大学生のらー(@daigakuseieiga)です。
今回は映画『TENET テネット』の感想と『TENET テネット』の世界にパラレルワールドが存在するのかどうかについての考察を紹介していきたいと思います。
『TENET テネット』を観た感想
『ダークナイト』で知られるクリストファー・ノーランが監督を務めた作品であり一躍話題となった『TENET テネット』をようやく観ることができました。
まず最初に言わせてください。
難しすぎる!!!
この作品は時間の逆行を扱っているのですが、そのせいで今何が起こっているのかということを理解するのが非常に難しくなっています。
1回で作品を理解することはほぼ不可能と言っていいでしょう。
また、この作品は観終わった後にじっくり考えることでじわじわ面白くなっていくタイプの作品だと思いました。
『TENET テネット』の世界にパラレルワールドは存在するのか
ここからは『TENET テネット』の世界にパラレルワールドは存在するのかということについて考察していきます。
結論から言ってしまうと、『TENET テネット』にパラレルワールドは存在しません。
『TENET テネット』は一つの時間軸の中で繰り広げられている話であり、どこかのポイントで分岐してパラレルワールドが生まれるということはないと僕は思いました。
ただ、だからといって『TENET テネット』の世界で起こることが決まっているという訳ではありません。
時間の逆行によってどこかのポイントで前に起こった出来事とは別の事が起こると、前の出来事が起こった場合にあった未来は消滅し、今回の出来事が起こった場合の未来が新たに生まれているのです。
これがとにかくややこしいのですが、この「時間時軸は1つしか存在しない」という前提で「主人公が何も知らされていなかった理由」「ニールが生き残る道はなかったのか」「TENET テネットの物語に終わりはあるのか」を順番に考察していきたいと思います。
無知こそが武器
まず、「主人公が作戦のことを何も知らされていなかった」理由について考察していきます。
主人公である名もなき男はテネットの作戦についてほとんど何の情報も与えられないままアルゴリズムが起動するのを防ぐために活動させられていました。
また、主人公以外のメンバーにおいても作戦の全貌を知っているものはほとんどいません。
共通の理解がないままでの作戦の実行というのは一般的な仕事であればまず考えられませんが、なぜテネットはそんな状態でアルゴリズムの奪取に臨んだのでしょうか。
それはテネットにおいては「作戦を知らないこと自体が最大の作戦」だったからです。
『TENET テネット』の世界には時間軸は1本しか存在しないためごくわずかな行動の違いが未来全体を大きく変えてしまいます。
そのため、作戦を実行しているメンバーの誰か1人でも作戦と違う行動をとってしまうと、その時点で作戦自体が崩壊してしまう可能性が大いにあるのです。
そしてその「作戦と違う行動」の中には「作戦と違う思考」も含まれています。
つまり、誰かが作戦の最中にこうした方が良いのではないかと考えるだけで本来起きないはずだった出来事が起こり、作戦が実行されていた未来とは大きく異なる未来が生まれてしまうのです。
そうであるからテネットを組織して作戦を考えた未来の主人公は過去の自分自身やテネットのメンバーにできる限り作戦を知らせずに遂行させました。
ここで伏線が回収されるのが、作中で何度も登場した「無知こそが武器」という言葉です。
テネットにおいては知らないことこそが未来を救うための最大の武器であったということをこの言葉は表していたのです。
ニールが生き残る道はなかったのか
では次に「ニールが犠牲にならなければいけなかった理由」について考察していきます。
作中の最後で、リュックに同じお守りを御守りを付けていたことでニールこそが主人公を庇って犠牲になった人物であることが明らかになりました。
そして主人公と最後の会話を交わした主人公と同じ時間帯を進んでいたニールが時間を逆行して主人公を助けにいく描写がありました。
そこでニールは「起きたことは仕方ない。この世の理だが何もしないことの理由にはならない」と言っていました。
このようにこの先自分に起こる出来事を受け入れてアルゴリズムの起動を防ぎに行くニールですが、ニールが生き残る方法はなかったのでしょうか?
僕は「ニールが生き残る方法もあったけれどあの場ではあれが最善の道だった」と思います。
ニールが主人公に別れを告げる時点で既にセイターからアルゴリズムを奪取することに成功していました。
そのため、作戦で残っているのはニールが逆行し、主人公を庇って犠牲になることだけでした。
ニールには自分が生き残るために別の行動をするという選択肢もありました。
しかし、別の行動をすれば未来は変わり、そのせいで万が一にも主人公たちがアルゴリズムの奪取に失敗すれば人類全体が消滅してしまいます。
一方、ニールがこれまでの時間の進み方の通りに主人公を庇って犠牲になれば確実にアルゴリズムの奪取に成功して人類の滅亡を防ぐことができます。
そして人類滅亡のリスクを取りながらも自分が生き残るやり方を探すか、自分が犠牲となって確実に人類を救うかの2択を考えてニールが選んだのが後者の自分を犠牲にすることと引き換えに人類を救う道だったのです。
こうしてニールが時間を逆行して主人公を庇い、犠牲になることで『TENET テネット』の作中で描かれていた時間の流れが完了します。
しかし、さっきも言ったように今回の時間の流れでは最終的にニールが犠牲になることがアルゴリズムの起動を防ぐために最善の方法だっただけで、ニールが生き残る別の道もあります。
どこかしらの段階で作戦と違う行動を取れば作中で描かれていた時間の流れとは別のものが生まれるからです。
その中にはニールが生き残りつつアルゴリズムの起動を防ぐことができるものもあると思います。
そしておそらく主人公はこの後ニールが生き残る時間の流れを作りに行くのではないかと考えています。
それは主人公がニールとの最後の会話でニールに「やり方を変えたら別の結果もあり得る?」と問いかけていたことからも伺えます。
物語の最後では、何も知らされていなかった主人公が自分が遂行した作戦を知ったことで、今度は自分が黒幕となって作戦を立てます。
主人公はこの段階で、自分が遂行した作戦の通りに時間が流れればアルゴリズムは発動しないこと・この作戦ではニールが犠牲になること・作戦がギリギリ成功したことを知っています。
これを踏まえて主人公は計画を練ることができるため、作戦の完成度を上げつつ、ニールが生き残るための工夫も入れるのではないかと思います。
「TENET テネット」に終わりはあるのか〜テネットの真の目的〜
最後に「TENET テネット」の物語に終わりがあるのかどうかについて考察していきます。
これまで考えてきたように、「TENET テネット」は1本の時間軸の中で時間の流れを変えながら進んでいく物語です。
主人公やニールが所属しているテネットは時間の流れを変えてアルゴリズムが起動しないようにしており、セイター側の人間は時間の流れを変えてアルゴリズムを起動させようとしています。
そしてこれらの両陣営は共に時間を逆行させることのできる回転ドアを所有しているため、いくらでも時間の流れを変えることができます。
このままではアルゴリズムが起動してしまうということになればテネットが逆行してそれを防ぎにいきますし、アルゴリズムが起動しなければセイター側が逆行してやり方を変えます。
そのため、『TENET テネット』で描かれたのはこの時間の流れの1つに過ぎず、今回アルゴリズムを起動させることができなかったため、セイター側は再び逆行してアルゴリズムの起動を目指します。
このように考えると『TENET テネット』の物語には終わりがないように思われます。
しかし、物語を終わらせる方法が1つだけあります。
それこそがアルゴリズムを起動させて人類を滅亡させることです。
アルゴリズムが起動しさえすれば、全ての時間の流れが逆行して人類は完全に消滅します。
ただ、このアルゴリズムの起動による終焉というのは主人公たちテネットからすればバッドエンドであるため、テネットはアルゴリズムが起動しそうになったら逆行してそれを防ぎます。
そのため、結局『TENET テネット』の物語が終わることはないと考えられます。
また、こうして見るとテネットの真の目的はセイターがアルゴリズムを集めるのを阻止することではなく、「物語を終わらせないこと」であることが分かります。
おわりに
最後までお読みいただきありがとうございました。
『TENET テネット』は非常に難しい話で僕も正直理解しきれていません。
新たに分かったことがあったら追加していきたいと思います。
当ブログ「男子大学生の映画部屋」ではこの他にも映画の感想や考察を紹介していますので映画好きの方もそうでない方も楽しんでもらえたら嬉しいです。
ではまた。