こんにちは、映画好き大学生のらー(@daigakuseieiga)です。
今回は2023年1本目に観た映画、『アントマン』のあらすじと感想を紹介していきたいと思います。
2023年にアントマンシリーズの第三作目となる『アントマン&ワスプ:クアントマニア』が公開ということで僕も久しぶりに『アントマン』を見返してみました。
『アントマン&ワスプ:クアントマニア』はアントマン好きの方、マーベル好きの方には必見の作品だと思いますので、ぜひこの記事で『アントマン』の予習をしていただけたらと思います。
注意
これから先は『アントマン』のネタバレを含みますので、自分で映画を観て確認したい方やネタバレを避けたい人は鑑賞後にご覧ください。
『アントマン』のあらすじ
『アントマン』のストーリーを一言でいうと、
「前科持ちの主人公が盗みに入った家で体の大きさを変えられるスーパースーツを手に入れ、それを使って悪役の陰謀を阻止する」話です。
ガッツリ逮捕歴のある人物(マーベルの世界では法を犯すヒーローは沢山いるが捕まる者は少ない)がヒーローになる物語というのは珍しくて面白いですよね。
『アントマン』製作陣
題名 | アントマン(原題:Ant-Man) |
監督 | ペイトン・リード |
キャスト | ポール・ラッド (スコット・ラング/アントマン), エヴァンジェリン・リリー (ホープ・ヴァン・ダイン), コリー・ストール (ダレン・クロス), マイケル・ペーニャ (ルイス), マイケル・ダグラス (ハンク・ピム), |
吹き替えキャスト | 木内秀信 (スコット・ラング/アントマン), 内田有紀 (ホープ・ヴァン・ダイン), 大川透 (ダレン・クロス), 小杉竜一(ブラックマヨネーズ) (ルイス), 御友公喜 (ハンク・ピム) |
制作 | ケヴィン・ファイギ |
『アントマン』感想
スーツの力に頼るだけじゃないところが良い
僕が『アントマン』を観て良いと感じたことの1つにスコットがしっかりトレーニングをするということがありました。
序盤でスコットのパンチが刑務所仲間の男に全く効いていないシーンやピム博士の家に盗みに入る時にスコットが頭がいいことを表すようなシーンがあったので、優秀な頭脳を持つが非力な主人公がアントマンスーツを着てアリの力を手に入れることでパワーを得るというストーリーなのかなと思ったのですが、普通にトレーニングしていましたね。
スーパースーツを着れば都合の良い力が得られるわけではなくて、しっかり自分で鍛えなくてはいけないというのがキャラクターの努力を観客が見ることができるという点で良いと思いました。
ルイスが普通に強い
ピム博士やホープと出会う前のスコットは先ほども言ったように非力なのですが、同じ刑務所仲間であったルイスは普通に強いのも良いですよね。
ルイス自身も腕っぷしが強いみたいなことを言っていましたが、正直ハッタリのように思う部分が強かったので、警備員たちを次々とノックアウトしていく様子に思わず笑ってしまいました。
キャシーちゃんは侮れない
スコットの娘であるキャシーも結構存在感が強かったですね。
一見ただの幼く可愛らしい女の子のようにも見えるのですが、勘が鋭く大人が気付かれたくないようなこともバンバン言い当てていましたし、スコットからもらった不気味なウサギの人形を相棒にしているあたりも侮れないと思いました。
ピム博士は意外とクズかもしれない
また、映画を観ていて思ったことに「ピム博士はクズなんじゃないか?」というものがありました。
なぜそう思ったかというと、ピム博士がほとんどスコットのことを心配しないでホープやアントマンスーツのことばかりを心配していたからです。
そもそもピム博士がスコットを次のアントマンに選んだのもホープがアントマンになって危険にさらされるのを避けるためという理由がありましたし、スコットが命令を無視してアベンジャーズの基地に行った時もスコットの命よりもスーツが奪われることばかりを心配していました。
そのため、自分の大切なもの以外にはドライという点ではヴィランであるダレンとあまり変わらないのではないかと感じました。(ピム博士自身も自分とダレンは似ていると発言している)
『アントマン』考察
次に『アントマン』の僕なりの考察をしていきます。
作品のテーマは「劣等感の行方」
『アントマン』が表しているテーマについて考える上で僕が重要だと思ったキーワードは「劣等感」です。
基本的に『アントマン』に登場する人物は何かしら劣等感を抱えています。1人ずつ見ていきましょう。
スコット・ラングの劣等感
本作の主人公であるスコット・ラングが抱えている劣等感とは「世間に対する劣等感」です。
前科ありという自身の経歴、元妻マギーの現在の婚約者であるジムは警官という自身とは正反対にある真っ当な職についていること、そしてホープというとても有能な人物が近くにいることでスコットは自分が何も出来なくて必要のない人間なのではないかと考えるようになってしまいます。
そのためピム博士にアントマンスーツを着て作戦を遂行してくれるよう頼まれても自分には無理だと言って最初は引き受けることができませんでした。
ホープの劣等感
本作のヒロインであるホープが抱えている劣等感は「父親に対する劣等感」です。
ホープは父親であるピム博士が自身にアントマンスーツを着ることを許さず、スコットに着るよう頼んでいることでスコット、ひいてはスコットがスーツを着ることを決める父親に対して劣等感を抱いています。
ダレン・クロス(イエロージャケット)の劣等感
本作のヴィランであるダレン・クロス(イエロージャケット)もホープと同じく「ハンク・ピムに対する劣等感」を抱えています。
自分を弟子にとりながらもアントマンのことを話してくれなかったピム博士は自分のことを認めていないとダレンは感じ、そのためピム博士を会社から追い出して自分一人でイエロージャケットの開発を行います。
ハンク・ピムの劣等感
そして本作に登場する人物の中でも最も重要といってもいい人物であるハンク・ピム博士が抱えている劣等感は「挑戦に対する劣等感」です。
ピム博士は自身の妻であるジャネットを失った経験から大切なものを失うこと恐れるようになり、ホープがアントマンスーツを着てダレンの企みを阻止すると申し出てもそれを承諾せず、スコットに任務を行うよう頼みます。
また、スコットが自分の命令を無視して自分の大切なアントマンスーツを失いそうになった時はスコットを叱りつけてもいます。
そのため、ピム博士はリスクを負って挑戦することを恐れ、何かを失うということに対して強い負の感情を抱いていると言えます。
劣等感の解消
このように『アントマン』において重要な言葉となっている「劣等感」ですが、この劣等感を解消して前に進むことが出来たか否で登場人物の未来が決定したと僕は考えています。
まず劣等感を解消することが出来たのが、スコット・ホープ・ピム博士です。
スコットはピム博士に頼られ、ホープにも認められたことで自信を取り戻し、そして何より娘のキャシーにとってのヒーローとしての立場を守るために任務を行うことを決意することで「世間に対する劣等感」を解消することが出来ました。
ホープは父親であるピム博士から母親がいなくなった真相を聞いたことでピム博士が自分の能力を信用していないからではなく自分を失わないためにアントマンスーツを着せなかったのだということを知ったことで「父親に対する劣等感」を解消します。
そしてピム博士はスコットが作戦を成功させるために果敢に挑戦する姿を見たことやホープが危険を恐れずに世界を救うために行動するのを見て「挑戦に対する劣等感」を解消し、最終的にはホープに今まで隠していたワスプスーツを見せています。
こうしてそれぞれの劣等感を解消した3人は無事作戦を成功させてダレンの陰謀を阻止することが出来ました。
それと対照的に劣等感を最後まで解消することが出来なかったのがヴィランであるダレンです。
彼はピム博士に対する劣等感を最後まで拭い切ることができなかったためにピム博士を超えることだけに執着してイエロージャケットを完成させ、最後はスコットとの対決に敗れて消えてしまいました。
hope
では劣等感を解消することが出来た前者と出来なかった後者の根本的な違いは一体何だったのでしょうか。
僕がここでキーだと考えているのが「hope(ホープ)」です。
ホープ(希望)があったか否か、またホープがいたか否かが劣等感が解消できたかどうかの鍵になったと思います。
スコットは娘にとってのヒーローになるというホープ(希望)、ホープは父親に認められていたというホープ、ピム博士はホープという大切な娘がそれぞれ存在していたことで彼らは劣等感を解消することができました。
それに対してダレンは唯一信頼していたホープに裏切られ劣等感を解消する希望を失ってしまったことで破滅へと進んでいってしまいました。
償いのチャンス
スコットの償い
また、『アントマン』のもう一つのキーワードとして「償いのチャンス」というものがあると感じました。
劇中でピム博士は誰にでも償いのチャンスはあるべきだというようなことを言っており、スコットに対して過去の罪(盗み)を償うために任務(盗み)を行うよう言いました。
盗みの罪を償うために盗みをしなければならないというのはなんとも皮肉な話ですが、無事任務を果たすことでスコットは過去に犯した罪を償うことが出来ました。
ハンク・ピムの償い
そしてスコットに償いをするよう助言したピム博士自身も償いを行っていました。
その償いとは過去に妻のジャネットが自身の身代わりとなって消えてしまったことに対しての償いであり、守れなかったジャネットの代わりに娘のホープだけはなんとしても失うまいとホープがアントマンスーツを着て危険な行動を取ることを禁じ続けていました。
ダレン・クロスの償い
ここで気になるのは、本作のヴィランであるダレン・クロスに対しては償いのチャンスが与えられていないのではないかということです。
ダレンはスコットがイエロージャケットのスーツを破壊したことで縮小し続けて消えてしまいました。
つまりダレンは償う機会を与えられずに消えてしまったということになるのではないでしょうか。
確かにダレンはピム博士に何度もイエロージャケットの開発をやめるよう忠告を受けていたのでそれが償いのチャンスだったと考えることもできるかもしれませんが、ダレンと同じ時期のピム博士が誰かから同じ忠告を受けたとしたらピム博士はピム粒子の開発をやめたでしょうか。
ピム博士は妻のジャネットを失うという経験をし、スコットも逮捕されて妻と娘を自分の側から失うという経験をしたからこそ償いのチャンスを掴むことができたのであって、ダレンはこの時点ではまだ何かを失う経験をしていなかったため、償いのチャンスが与えられていたと考えるのは難しいのではないかと個人的に思いました。
このことから、もしかしたらダレンは生きていて、『アントマン&ワスプ:クアントマニア』で再登場して償いのチャンスが与えられるのかもしれません。
スコットはなぜアントマンに選ばれたのか
最後に、スコットはなぜアントマンに選ばれたのでしょうか。
ピム博士がスコットをアントマンに選んだ理由はホープを守るためというものがありましたが、その他に
・正義感が強いが正しく用いていないこと
・償いのチャンスを探していること
・盗みのスキルが優れていること
があると思いました。
方向音痴の正義感
スコットはもともと正義感が強い人物でした。
しかし、アントマンになる前のスコットは逮捕される原因となった盗みのようにその正義感を間違った方向で使っていました。
そのため、ピム博士は正義感はあるが正しく用いることのできていないスコットがアントマンとして活動するのに適していると考え、正義感を正しく振るわせるためにスーツを与えました。
償いのチャンス
前の部分でも言ったようにピム博士は誰でも「償いのチャンス」は与えられるべきだと考える人物でした。
そのため、盗みという罪を犯したスコットでも罪を償うことでもう一度妻や娘の元へ戻ることはできると考え、ピム博士はスコットにチャンスを与えるために次のアントマンに選んだのではないかと思いました。
盗みがお上手
また、正義感の使い方を間違えているとはいえスコットは盗みの能力に秀でていることが作品から窺えます。
ピム博士がダレンの計画を阻止するためにはイエロージャケットを盗む必要があったため、単純に盗みが上手な人物という観点でもスコットは適任だったのでしょう。
このように正義感があって、償いのチャンスを探しており、盗みが上手い人物という条件にスコットがピッタリ当てはまり、ホープの代わりにアントマンスーツを着て任務を成功できそうだったため、スコットがアントマンに選ばれたのではないかと僕は思いました。
おわりに
最後までお読みいただきありがとうございました。
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ではまた。